水底の町



月を映した 水の底には
一つの町が 沈んでる
魂は波に揺られて
辿り着くだろうか


腐った肉体は水に融け出し
やがて魚の血と肉となる
寄せて返す波のように
未来はまだ続いてる


お母さんは空へ行ったよ
お父さんは月へ行ったよ


どうぞ泣かないで幼子よ
命とは永久に続いてゆくもの
頭上に煌めく星々は
愛しき人の輝く瞳


光を孕む 水の底には
一つの町が眠ってる
全てのものは土へと還り
辿り着くだろうか


崩れた瓦礫は息を潜めて
新たな命の苗床となる
幼子よ眼を逸らさないで
君は此処で生き続けて


お母さんは空に居るから
お父さんは月に居るから


いつでも手を振って
呼んでおくれ
魂は白い羽根を携えて
君の涙を翼に乗せて
自由に飛び回って
いるだろう


もう泣かないで幼子よ
百億の夜さえも乗り越えて
いつか又君に廻り合うまで
いつまでも見守って
いるから


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